むかし、インドの山の中を、ひとりの修行者が旅をして歩いていました。
この人はとても年を取っているようで、森の中で疲れて倒れこんでしまいました。
すると、一匹のウサギがそのおじいさんをみつけて、助けようとしました。
ウサギは友達のサルとキツネを呼んできて、どうしたらいいか、話し合いました。
ウサギ「なにか 食べるものがあるといいね。」
キツネ「じゃ、ぼく 川に行って魚を取ってくるよ。」
サル 「じゃ、僕は 木の実をたくさんとってこよう。」
ウサギ「ぼくは火をおこしておくよ。」
そんな話の後、キツネは川へ、サルは木の実を取りに森に出かけいきました。
ウサギはいっしょうけんめい、火をおこそうと思いましたが、怖くてうまくできません。
それを見たおじいさんは、ウサギを手伝って火をつけました。
キツネとサルが帰ってきて、修行者のおじいさんに木の実と魚を食べさせてあげました。
ウサギは、何もできない自分をとても恥ずかしいと思いました。
そして、おじいさんに言いました。
ウサギ「私は何もできません。でも、どうぞ、この私の体を食べてください。」
そういって、ウサギは火の中に飛び込みました。
修行者のおじいさんは言いました。
「優しいウサギよ、お前の思いは確かに受け取った。私は お前にその礼をしよう。お前を、永遠に輝く月に住ませてあげよう。」
こうして、月には ウサギがいるようになったということです。