昔話むかしばなし　①

うらしまたろう

昔むかし、あるところに浦島うらしま太郎たろうという心こころのやさしい漁師りょうしが住すんでいました。
ある日ひ、浜辺はまべを歩あるいていると、一匹いっぴきの亀かめが子供こども達たちにいじめられていました。
「かめをいじめたらかわいそうだよ。はなしてあげて」
そう言いって太郎たろうは子供こどもたちから、亀かめを助たすけてやりました。
数すう日にちすぎたある日ひ、太郎たろうがいつものようにつりをしていると亀かめが海うみから出でてきて、
「浦島うらしま太郎たろうさん、僕ぼくはこの間あいだあなたから助たすけられた亀かめです。お姫様ひめさまがあなたを竜りゅう宮城ぐうじょうに連つれてきなさいと言いうので、お迎むかえにまいりました。」
と言いいました。
太郎たろうはさっそく亀かめのこうらに乗のると海うみの中なかに入はいっていきました。
竜りゅう宮城ぐうじょうは、とても美うつくしいお城しろでした。
お姫様ひめさまはそれはとても美うつくしい人ひとでした。
「浦島うらしま太郎たろうさん、亀かめをたすけてくれてありがとうございます。どうかごゆっくりしていって下ください。」
太郎たろうは、お城しろの中なかの大おおきな部屋へやに案内あんないされ、たくさんの豪華ごうかな料理りょうりをごちそうになりました。
タイやヒラメやタコなどの魚さかなたちが、太郎たろうにおどりを見みせてくれました。
太郎たろうは時間じかんのたつのも忘わすれて楽たのしみました。
まるで夢ゆめのような毎日まいにちでした。
数すう日にちが過すぎ、太郎たろうは村むらのことやお母かあさんのことを思おもい出だし、帰かえろうと思おもいました。
「もう7日にちも竜りゅう宮城ぐうじょうにいたので、そろそろ家いえに帰かえります。ありがとうございます。」
「いつまでも、ここにいて欲ほしいのですが、しかたありません。では、この玉手箱たまてばこを持もっていってください。でも、この箱はこは決けっして開あけてはいけませんよ」
お姫様ひめさまは浦島うらしま太郎たろうに小ちいさな箱はこを手渡てわたしました。

亀かめに乗のって村むらに帰かえった太郎たろうは、なぜか自分じぶんの家いえもお母かあさんも見みつけられず、村むらもすっかり変かわっていました。
どうしたらよいかわからなくなってしまい、玉手箱たまてばこを開あけてみることにしました。
すると白しろいけむりが出でてきて、浦島うらしま太郎たろうはあっという間まにおじいさんになってしまいました。
竜りゅう宮城ぐうじょうで楽たのしく過すごしている間あいだに、何なん百びゃく年ねんも経たってしまったのです。
浦島うらしま太郎たろうは、今いまどこにいるのか、夢ゆめなのかわからなくなってしまいました。